爽やかくんの為せるワザ






「そういえば25日どうする?」



帰り道、藍くんはふとそんなことを言った。


はっ、そういえば。

24日のパーティーは決まったけど、


肝心の25日何も決めてなかった!




「珠姫ちゃん、どこか行きたいとことかある?」




隣で歩く藍くんが私の顔を覗き込む。

私はそんな仕草にきゅんとしながらも、うーんと考えだした。




…………お家でゆっくりしたい……


って言ったらさすがに意図バレバレ……?


それに、クリスマスに部屋で2人っきりなんてまさにそういうことをしちゃうかもだし。

私こんな風に色々やましいこと考えちゃってるけど、全然自分自身は心の準備できてないんだよね……。




〝……襲わないよ〟




…………あ、

やっぱり……クリスマスもそういうことはしないのかも。


なんで私、1人で盛り上がって1人で慌ててるんだろ。


襲われたりなんてないのに。




「……イルミネーション見に行きたいかも」


「おーいいね。駅前のセンター街綺麗だし行こっか」




やっぱり爽やかな笑顔が眩しい。



藍くんは私の為に襲わないって言ってくれてるのに、私は自分のことばっかり考えて藍くんの気持ちを無視してた。


駄目だ……こんなの。


せっかく佐賀くんにも協力してもらったけど、それはもっと先に生かそう……。




「……珠姫ちゃんって」


「え?」


「…………いや、ごめん。なんでもない」




何言いたかったか忘れたー、と笑う藍くん。


……?

なんだったんだろう。


気になるけど……忘れたって言ってるし聞かない方がいいよね。



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