爽やかくんの為せるワザ
い、委員長……?
珍しい、委員長がこんなきっぱり自分の意見を言うなんて……。
委員長、もとい佐藤さんは、大人しくて自分の意見をあまり言わない静かな子だった。
それでも委員の仕事はしっかりこなすし、真面目で成績も優秀で、先生からの評価も高い。
……だから、そんな真面目な委員長がまさか『男女逆転カフェがしたい』なんてとても意外で。
でも、
〝男女逆転カフェ〟って……なんだか楽しそう。
男子が女装して、女子が男装するって、ことだよね。
「え、委員長どうした?」
「こういうノリ嫌いそうなのに?」
「むしろ1番ノリ良い案じゃね?」
ざわざわとクラスメイトが騒ぐ中、立ったままの委員長は突然皆を振り返った。
「わ、私……高校の文化祭で〝男女逆転カフェ〟をするのが夢だったの!」
顔を真っ赤に染めて大声を上げる委員長。
その真剣さに、皆は自然と騒ぐのをやめていく。
「昔から少女漫画が好きで、文化祭の出し物とかカフェして皆で青春みたいなの……したくてっ。
1番の夢は男女逆転することなんだけど……。こ、このクラスなら間違いなく盛り上がるし……」
緊張でなのか、委員長の声と足はふるふると震えている。
懸命に自分の気持ちを伝えようとする委員長が、とてもかっこよく見えた。
「……構成とかも勝手に考えてて……。あ、足立さんとか……絶対男装したらイケメンだし……っ」
どんどん小さくなっていく声。
しかし皆は聞き逃さなかった。
さ、沙羅ちゃんの男装…!?
……確かに、絶対イケメンになる。