爽やかくんの為せるワザ
「そのたまサラって呼ぶのなんなの?」
なんだか不服そうな様子の沙羅ちゃん。
その呼び方気に食わないのかな?
私は割と好きだけど。
「緒方がたまにそう呼ぶじゃん。たまごサラダコンビ」
「だからって桃の真似してんじゃねーよ」
やっぱりカツくんと桃ちゃんって仲良いなぁ。
こういう些細なことからもそれが伺える。
仲良いからこそ口癖とか仕草が移るんだよね。
「つかその緒方は?」
「桃ちゃんなら花恋ちゃんや村本さん達と帰ってるよ。クリスマスの打ち合わせするんだって」
「へぇ、張り切ってんなぁ」
感心したように頷くカツくんを見ながら、私は頬を緩ませる。
楽しみで仕方がないんだよ。
皆で良い思い出を作れることが。
私もそんな桃ちゃんが頑張って幹事してくれるパーティーがすごく楽しみ。
「……でさ、ちょっとたまちゃんと足立にお願いがあるんだけど……」
ふと、カツくんは言いづらそうに顔を歪めながら話し出した。
首の後ろに手を当てて、なんだか落ち着きがない。
……?なんだろう。
「明日の放課後、俺と緒方の2人で帰らせて欲しい」
いつの間にか立ち止まっていたカツくんを振り返るように私と沙羅ちゃんは彼を見つめる。
沙羅ちゃんと顔を見合わせてからもう一度カツくんに視線を戻すと、彼は真剣な表情で覚悟を決めた様子を見せた。
「その時、緒方に告白するからさ」
下駄箱付近に少し響いたその言葉。
偶然にも近くには私達以外に生徒はいなかった。