爽やかくんの為せるワザ




「……本気?」




やっと口から出た言葉はそれだった。


別に冗談だと疑ってるわけじゃないけど、なぜかそれを聞いてしまった。

多分思考回路がぐちゃぐちゃなんだろうな。




「……本気だよ」




小さな返事が聞こえて、鼓動の音が早くなった。



……そりゃそうだよね。

ていうか、びっくりし過ぎたんだけど。


まさかカツが私のこと好きだなんて。

普段そんな素振り全く見せてなかったのに。



中学の頃は若干疑ってたとこあるけど、今の今までほんとに友達としてしか接してこなかったから……気付かなかったのかも。


ほんとに意外過ぎてびびってるんだけど。




「……知らなかった」


「そら良かった。バレないようにしてたからな」


「え、なんで?」


「緒方が迷惑がると思って」




……私が?


あ、そっか。

私が「彼氏いらない」ってずっと言い続けてきたからか。


……だってカツに好かれてるなんて思わなかったし。

てかそれ……私めちゃくちゃカツのこと傷つけてない?




「……ごめん」


「いや今更いいって。俺も今まで怖気付いてたから」




あははといつものように軽く笑うカツ。


私はそのままゆっくりと振り返った。




「……」


「……」




ぱっちりとカツと目が合う。

お互い何も言わず、というか何を言えばいいのか分からずただ見つめ合った。



……カツとこんな気まずい感じになったの初めて過ぎて、ちょっとどうしていいか分かんない。



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