爽やかくんの為せるワザ




「やべぇ、めっちゃ背高いな」
「沙羅の彼氏!?いたの!?」
「あの2人面白いんだけど」



皆のそんな声が聞こえてきて、あっという間に沙羅ちゃん達の周りには人が集まった。


私はその輪からこそっと抜け出して広間を見渡す。




「珠姫ちゃん」




透き通るような心地良い声が耳に届く。

顔を向けると、そこには私服の藍くんが私に向かって手を振っているのが見えた。

私はぱあっと笑顔を零して藍くんに駆け寄る。




「藍くん!私服かっこいい……!」


「え?あはは、ありがとう。珠姫ちゃんもすっごく可愛い」


「うっ……あ、ありがとう……」




顔が火照るのを感じて、思わず俯いてしまった。


やっぱり私服だとより輝いて見える……。

初めて見たけど……かっこよすぎるよ。


藍くんは何着ても絶対似合う。




「珠姫ちゃんもプレゼント持って来た?」


「あ、うん!交換会するって聞いたから」


「皆何持って来たか気になるよね」


「ねー。藍くんのプレゼント欲しいなぁ」




言ってからはっとする。


は、恥ずかしい。

本音だけど、さすがに素直過ぎて子供っぽいって思われたかな。


ていうか藍くんからのプレゼントをせがんでるように思われたかも……。

強欲な女……。


< 265 / 311 >

この作品をシェア

pagetop