爽やかくんの為せるワザ



「じゃあ……お願いしますっ。
時間は11時とかどうかな?そのままお昼一緒に食べに行くとか!」


「あーいいね。夜まで時間あるし映画とか観てようか。あそこの大きいモール行く?」


「……良い!うん、そうしよ!」


「おっけー」




にこっと爽やかな笑顔を見せてくれた藍くんは、そのままさりげなく私の手を握ったのだ。

私の心臓は人知れず爆発する。


触れた手はまだ冷たいけど、どんどん温もりを帯びていくようで。

下手すれば手汗をかいてしまいそうだ。




……もう、藍くんの気持ちを無下にするようなことはしない。

だから、襲ってもらおうとかそういう邪な考えは捨てることにした。


私はこうして藍くんと一緒にいられるだけで幸せだし、手を繋げただけでこんなに嬉しくなる。


それだけで十分だよ。



一人よがりなことはやめて、もっと藍くんに幸せになってもらえるように努めようと思う。


藍くんがそういう気持ちになるまで、私はいつまでも待つつもり。

その間にもっともっと自分磨きも出来るし!


藍くんが自慢出来るような素敵な彼女を目指す!




「イルミネーションなら知り合いに会いそうだね」


「あ、確かに。藍くんはあそこのイルミネーション見に行ったことある?」


「……まあ、あるにはある」




少し言いにくそうに声を小さくした藍くん。


……はっ、気まずいこと聞いてしまった?

だってクリスマスのイルミネーションってなったら、普通は恋人と見るもんね。


〝ある〟っていうのは元カノとってことだよねー……。



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