爽やかくんの為せるワザ
「あ」
隣を歩いていた沙羅ちゃんが前を向いて突然立ち止まる。
「え?」と沙羅ちゃんを見つめたまま私も立ち止まるが、沙羅ちゃんは前を向いたままだ。
私も沙羅ちゃんの視線を追って振り返ってみる。
「あ」
「……ん?あ、成瀬さんと足立だ!」
前方にはなんと羽水くんとカツくんがいた。
彼らもこちらに気付いたようで、羽水くんが笑顔で手を振ってくれる。
ま、眩しい。
ていうか、帰り道で会うなんて珍しい。
「あれ?緒方は?」
カツくんがきょろっと軽く辺りを見渡しながら聞いてきた。
あ、そっか知らないのか。
「桃ちゃんは文化祭の実行委員会に出てるよ」
「……え!?あいつまた実行委員なったん!?」
「へぇ!さすが緒方だな〜」
「……俺とか押し付けられそうだったから断ったってのに……」
「カツ必死だったよな」
あはは、と笑う羽水くんと呆然とするカツくん。
そういえば2人は同じクラスだったね。
「あいつまじ出来た奴だな……」とカツくんが小さく呟く横で、羽水くんは爽やかに笑っている。
「あ、羽水」
と、不意に沙羅ちゃんが羽水くんに声を掛ける。
羽水くんは「うん?」と沙羅ちゃんを見た。
「珠姫が羽水の連絡先知りたいって」
「…あ、そうだったんだっ?」
「ちょ!!」
沙羅ちゃん!?
急に何言い出すの!?