爽やかくんの為せるワザ




「こんなの足立にバレたらぶっ飛ばされそう」


「あはは、ほんとに。教室でするような話じゃないよこんなの」


「だって珍しく藍がこういう話してくれたし!?俺はもっと藍とコアな話をしたいんだよ!」


「何それ」




あははと笑い合うと、なんだかすっきりした気分になった。


こういうとこはかっこいいんだよね、カツって。

俺の気付けなかった所をちゃんと指摘してくれて、時には怒ってくれる。


これまでカツにはかなり助けられてきたんだ。




「ま、男なら男らしくそういうのはリードしてあげな」


「うん、そうする」




実際、じゃあすぐにしますってわけじゃないけど。

でも今までみたいに、自分の判断だけで決めつけるのはやめよう。


珠姫ちゃんの意思を尊重して、お互いが満足できる形になるように。


珠姫ちゃんに後悔だけはさせないように。



……まあ、ちゃんと我慢するべきところはするけどね。




「そういえばカツって経験ないのに詳しいよね」


「経験ないって直球に言うなよ!まあ、ないけどさ!?

俺はあれだよ、兄貴の受け売りだよ」


「ああ、そっかお兄さんか」


「俺は緒方一筋だったから経験ないだけで、ほんとはモテてモテてモテまくってんだからな!」


「はいはい」



軽く受け流すと、カツは「出たよS(エス)い藍!」と嘆くように言った。



俺ももっと成長しなきゃね。

やっと好きな人ができたんだから。


珠姫ちゃんに幻滅されないように、大人にならなきゃ。



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