爽やかくんの為せるワザ
私は沙羅ちゃんの腕を掴んで目で訴えるが、沙羅ちゃんはニヤッと笑っただけで。
みるみる自分の顔が熱くなるのを感じた。
う、羽水くんに引かれてないかなっ……。
「俺も前聞けばよかったなって思っててさー」
「……えっ、そうなの?」
「うん。……今交換出来る?」
「も、もちろん!」
私は慌てて携帯をポケットから取り出す。
そしてアプリを開いてお互いの連絡先を交換した。
自分の携帯に羽水くんの連絡先が表示されているのを見て、なんだか嬉しい気持ちに……。
……あ、羽水くんのアイコン、飼い犬かな。
可愛い。
…………どうしよ、ニヤつく!
「やったー!成瀬さんと連絡先交換出来た〜」
「……え、てか藍。お前たまちゃんのことだけ〝さん〟付けで呼んでんの?」
携帯を眺める羽水くんの顔を、カツくんは怪訝な表情で覗き込んだ。
……ほんとだ。
沙羅ちゃんも桃ちゃんも、皆苗字呼び捨てだし。
私だけかも。
すると沙羅ちゃんが「カツいつの間に〝たまちゃん〟って呼んでんだよ」とカツくんに迫った。
「だって皆呼んでたし呼びやすいじゃん」とカツくんがそれに答えていて。
そんな中、羽水くんはびっくりした表情でこちらを見つめていた。