爽やかくんの為せるワザ
「ねぇ珠姫ちゃん」
「……はい」
「キスしたい」
!?
藍くんの懐にいた私はバッと顔を上げて藍くんを見た。
私を見下ろす藍くんの頬はほんのりと赤くなっていて、その視線はさっきみたいに熱い。
「……」
「……駄目かな」
「……ううん、いいよっ」
私はぎゅっと藍くんに抱き着いた。
嬉しいって気持ちを最大限に表すように。
そして藍くんは、少し首を傾けながらゆっくり私にキスをした。
ドキドキし過ぎて頭がクラクラする。
甘くて、ふわふわして。
炭酸みたいな爽やかさもあって。
病みつきになる。
「……」
「……やばい」
「へ?」
「ごめん、こっちの話。今自分と戦ってる」
「……?」
「あ、先に言っとくけど今日はしないから安心して。親いつ帰ってくるか分かんないし、もう時間も遅いからね」
「……は、はひ」
思わず変な声が出てしまった。
不意にそういう話をされたから、つい。
……でも、前みたいな落ち込む感じはなくて、
素直にそう言ってくれたのが少し嬉しかったり。
まあ、ほんの……ほんのすこーしだけ……残念だけど。
いや、だから私は欲求不満かって!
「ちゃんと言ってくれてありがとう」
「うん……」
ぎゅうっと強く抱き締められて、私は更にドキドキした。
なんだか藍くんからもより愛情を感じて。
幸せな雰囲気が私達を包み込んだようだった。
……多分、包み込んでるというか私達が醸し出してるね。