爽やかくんの為せるワザ



「ねーたまちゃん。最近藍くん達と仲良いよね?」


「…へっ!?」




ペン動かしながら、班員の女の子が私の顔をちらりと覗き見た。


まさか藍くんの名前が出るとは思わず、一瞬で体が固まってしまう。




「…えっと、そう……なのかな。うん、仲良いよ……!」


「じゃあ知ってるかな?藍くんの元カノが浮気してたって」


「あ……うん、聞いたよ」




その修羅場にも居合わせちゃったよ。





「あの子さぁ、藍くんと別れて浮気してた男と付き合ってたらしいんだけど、昨日その男とも別れたんだってー」


「……え、そうなんだ」





藍くんの元カノ。

渡り廊下の自販機前で、すれ違ったあの子。


怒っていた為か、すごく険しい顔が印象的で。

話したことは1度もない。



……でも、別れちゃったんだ。

その男の子とも……相性合わなかったのかな。




「藍くんもその男もかわいそーに。あんな自分勝手な子に振り回されてさー。今も合コンとか行きまくってるんだってさその子」


「……そ、そっかぁ」


「藍くんはたまちゃんみたいな癒し系の女の子が似合うと思うんだよね。2人揃うとマイナスイオンすごい出る、みたいな」


「ま、マイナスイオン……?」




えへへと笑って、女の子はまた手を動かし始める。


自分が癒し系かどうかは置いといて、確かに藍くんはそういう子の方が良さそうかも。

藍くんの好みにもよるから、あまり決め付けちゃいけないけどね。


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