爽やかくんの為せるワザ




なんだかんだ準備を進めていると、あっという間に日が暮れてしまった。

部活が終わり出す頃、私達もそろそろ後片付けを始め出す。




「ある程度片付けたら俺らがやるから置いといていいぞー」




片付けながら皆に声を掛ける敬吾くん。

桃ちゃんも沙羅ちゃんも買い出しから戻って来ていて、残っていた皆で手際良く片付けていく。



と、そこに。





「あ、緒方じゃん」




ドアの方で聞こえた声に、私を含め数人が振り向く。

廊下からこちらを見ていたのは、なんとカツくんと藍くんだった。





「あ、カツらも残ってたんだ?」


「おー準備でな。あ、実行委員の敬吾くんではないかー!」




カツくんは敬吾くんを見つけると、嬉しそうに笑いながら肩を組みに教室へ入ってきた。


そうしてカツくん達の周りにクラスメイト数人が集まりだし、一気に楽しそうな空気が出来上がった。



……やっぱりすごいな、カツくんって。





「珠姫ちゃんは看板描いてたんだね」



不意に近くで聞こえた優しい声に振り向くと、すぐ隣に藍くんが立っていた。

恐らく私の手元にある紙とペンを見て察したのだろう。



……う、爽やかな笑顔に癒される。

確かに藍くんからマイナスイオン出てるかも。



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