爽やかくんの為せるワザ
「そうなの、難しいけど楽しいよ」
「へぇ、珠姫ちゃん絵上手いね」
「えっ……あ、ありがとう!」
顔が熱くなるのを感じて、私は思わず俯いてしまう。
藍くんは素直だ。
こうやって自然と褒めてくれるところなんて、さすがだし尊敬する。
「……あ、珠姫ちゃんさ」
「うん?」
「文化祭で…………あー、文化祭終わったあととか皆で打ち上げするの?」
少し何かを誤魔化すように笑った藍くんに、私は一瞬きょとんとする。
……何か言いかけたかな?
いや、ただ単に言い直しただけかも。
「まだ決めてないよ。でもした方が楽しそうだね。
藍くんのクラスはやるの?」
「うん、やるよ。カツは『それを楽しみに頑張るんだろ!?』って言ってた」
打ち上げが目的かよっていうね。なんて言って笑う藍くんはなんだか嬉しそうで。
それを見てると私まで嬉しくなる。
藍くんの笑顔を見れるだけで安心する。
あの、切なさを含んだ笑顔じゃない、幸せそうな笑顔が見たい。
心からそう思えた。