爽やかくんの為せるワザ
「羽水には絶対いい子が現れるって!絶対!」
敬吾は自信満々に胸を張り、藍の肩をぽんと叩く。
藍は優しく笑って「ありがとう敬吾」と返し、救われた気持ちで満たされた。
と、その時。
「……あれ?なあ、あれたまちゃんじゃね?」
不意にカツは立ち止まり、あるアクセサリーショップを指差す。
一同もその指し示す方へ目を向けて。
藍は言葉を詰まらせた。
「ほんとだ、成瀬じゃん!」
敬吾は額に手を当てて覗くように店にいる珠姫を見つめている。
小綺麗なアクセサリーショップでショーケースをまじまじと眺めていたのは、紛れもなく珠姫で。
その隣には、背の高い落ち着いた美青年が1人いた。
彼らから店までは少し距離がある為、未だ店内にいる珠姫はこちらに気付いていない様子。
親しげに話を交わす2人は、まるでお揃いのアクセサリーを買いに来たカップルのようだった。
「……え、あれ隣にいるのもしかして彼氏?」
「成瀬って彼氏いたの!?」
カツと敬吾が答えを迫るように振り向いた先は藍だ。
店の方を向いたまま呆然としていた藍は、ハッとして2人に顔を向ける。
「いや、前聞いた時はいないって……」
「あ、そうなん?じゃあ兄貴とかかな?」
「兄妹にしてはなんか距離近くないか…?」
敬吾の言葉に、カツは顎に手を当てて考え込む仕草を見せた。