爽やかくんの為せるワザ
――ガコン。
自販機の取り出し口から、私は牛乳パックを取り出す。
お昼ご飯を食べ終え、時間が余ったので私だけ自販機に飲み物を買いに来たのだ。
「よし」
購入した牛乳パックを片手に、教室へ戻ろうと踵を返したその時。
――バチン!
かなり大きく聞こえた、肌を叩くような高い音。
どうやら後ろの廊下の角から聞こえてきたようだ。
「しつこいって言ってるじゃん!
なんなの!?付き合っても全然楽しくないし、あんたがそんなんだからあたしだって他にいきたくなるんでしょ!?」
続いて聞こえたのは女子の怒声。
こ、これはもしかして……男女の修羅場?
聞く感じでは、彼氏の方が振られてるってところかな……。
「……じゃあ浮気する前に話してくれれば、」
「は?そんなの自分で気付いてよ。浮気させたのはつまらないあんたのせいじゃん。
…じゃ、もう行くから」
かなり一方的に怒りをぶつけた様子の女子は、見ていた廊下の角からこちらの方向に歩いて来た。
呆然と立ち尽くす私を一瞥して、ずんずん横を通り過ぎていった女子。
私は彼女の姿が見えなくなったところで、ゆっくり先程の廊下の角へ歩み寄る。