爽やかくんの為せるワザ





――ガコン。


自販機の取り出し口から、私は牛乳パックを取り出す。


お昼ご飯を食べ終え、時間が余ったので私だけ自販機に飲み物を買いに来たのだ。




「よし」




購入した牛乳パックを片手に、教室へ戻ろうと踵を返したその時。





――バチン!





かなり大きく聞こえた、肌を叩くような高い音。

どうやら後ろの廊下の角から聞こえてきたようだ。





「しつこいって言ってるじゃん!
なんなの!?付き合っても全然楽しくないし、あんたがそんなんだからあたしだって他にいきたくなるんでしょ!?」





続いて聞こえたのは女子の怒声。


こ、これはもしかして……男女の修羅場?

聞く感じでは、彼氏の方が振られてるってところかな……。





「……じゃあ浮気する前に話してくれれば、」


「は?そんなの自分で気付いてよ。浮気させたのはつまらないあんたのせいじゃん。
…じゃ、もう行くから」





かなり一方的に怒りをぶつけた様子の女子は、見ていた廊下の角からこちらの方向に歩いて来た。

呆然と立ち尽くす私を一瞥して、ずんずん横を通り過ぎていった女子。



私は彼女の姿が見えなくなったところで、ゆっくり先程の廊下の角へ歩み寄る。



< 5 / 311 >

この作品をシェア

pagetop