爽やかくんの為せるワザ
「……珠姫、羽水とくっ付くと思うか?」
ぼんやり前を見つめて、呟くように言葉を漏らした沙羅。
桃はそんな沙羅を見て、考えるように上を向く。
「分かんないかな。そうなればいいなとは思ってるけど、たまと藍くんの気持ち次第だし」
「珠姫が羽水のこと拒絶したり、羽水が珠姫のこと好きになれなかったり、上手くいかなかった方のリスクがでかいもんなぁ」
「私嫌だ。皆が気まずくなるようなこと起きて欲しくない」
「そんなのしゃーねぇだろ。何が起きてもお前は珠姫のこと守れよ」
「沙羅もね。ていうか、たまも藍くんもみーんな守るし」
「……お前、意外と子供だな」
沙羅の言葉に、桃はムッとして肘で沙羅をつついた。
「……とりあえず、文化祭が成功してくれればいいよ」
「そうだろうな。まあ大丈夫なんじゃねぇの?」
「好成績を残したクラスには生徒会からプレゼントがあるらしいし」
「え、そんなのあったっけ?今年から?」
「うん。プレゼントに期待はしてないけど、結果は残したいじゃん」
「ま、頑張ろ頑張ろ」
ダンボールを抱えた2人は、そんな会話を交わしながら皆が待つ教室へ向かって行った。