爽やかくんの為せるワザ

文化祭恐縮の至り






そして遂にやってきた文化祭当日。


誰でも来れるようになっている為、普段では考えられない程校内は人で埋め尽くされていた。


中には、客寄せ看板を持って宣伝を行う生徒がいたり、着ぐるみ姿の生徒が遊園地のマスコットみたいに来場者を盛り上げていた。



そして開場から1時間が経とうとしていた頃、

私達3組リバーサルカフェの来店者はほとんど女子で埋め尽くされていた。




「はあ!?羽水と約束してねぇの!?」




そんな中、私は注文を受けた料理を取りに裏へ入ると、なぜか怒っている沙羅ちゃんがいた。



沙羅ちゃんの男装はやっぱり最高にかっこよくて、見に来たお客様も見とれてしまう程。

口調が荒いのもあって、皆からは「ご主人様としょっちゅう喧嘩するけど実はツンデレな執事」と囁かれていたり。





「……え?約束って?」


「文化祭だよ!一緒に回る約束してなかったのか!?」




ずいっと私に顔を近づけた沙羅ちゃん。


男装姿のイケメン沙羅ちゃんに少しドキドキしていると、通りすがりの桃ちゃんが「沙羅声うるさい」と沙羅ちゃんの頭にチョップを入れた。




「ホール忙しいんですけど。『沙羅くんまだかな〜』って心待ちにしてる女の子ばっかりだよ」




腰に手を当てて溜息を漏らす桃ちゃん。


桃ちゃんの男装姿も、それはそれはかっこよくて。

いつもの伊達眼鏡は健在だけど、短くなった茶髪とその大きな瞳がとても魅力的で。


一部では「いじわるしてくるけど甘やかしてくれるドS執事」って言われてるらしい。



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