爽やかくんの為せるワザ



「女子人気高いな!?」


「すごい……」


「俺の女装でこの店の均衡が保たれてるよな」


「自分で言うなよ。敬吾の女装はネタだろ」




カツくんと敬吾くんがまた言い合いを始める中、藍くんがじっと私の服装を見つめていることに気付いた。

私が首を傾げると、藍くんはハッとして服から視線を外す。




「ごめん、キモいね俺」


「う、ううん!……でも、どうしたの?」


「いや、敬吾のもそうだけど、店員の衣装もすごい可愛いしかっこいいなと思ってさ」


「お、見る目があるな羽水よ。実はこのカフェ全体のデザインを統括したのは珠姫なんだぜ」





沙羅ちゃんが私の肩に腕を回して自信満々にそう伝えると、藍くんは再び「え!?」と驚いて見せた。





「そうなの!?すごいね珠姫ちゃん!」


「ま、まとめただけだけど!デザインは皆が考えてくれたんだよっ」


「珠姫もちゃんと考えてたじゃねーか。羽水もこう言ってくれてんだし、評判も良さそうじゃん」


「……うん、そうだね。
ありがとう藍くん!」


「頑張って良かったな、珠姫」




……沙羅ちゃん。


……うん、ほんとに頑張って良かった。

やり遂げて良かった。


桃ちゃんに統括を任された時はどうしようって不安だったけど、

こうやって文化祭の準備にちゃんと携われて……役に立てて良かった。



嬉しくて……なんだか泣きそうだ。


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