爽やかくんの為せるワザ



「足立せんぱーい!」




そこへ後輩らしき生徒が座るテーブルからそんな黄色い声が聞こえてきた。


振り向いた沙羅ちゃんに、その後輩達はキャッキャと興奮していて。



桃ちゃんがぽんと沙羅ちゃんの肩を叩く。





「ほら沙羅行ってきな。後輩がお呼びだよ」


「…しゃあねぇなー」




沙羅ちゃんはそう呟いて、彼女達のテーブルへ向かって行った。



沙羅ちゃん、後輩にまで人気だ……。

すごいなぁ。





「てかカツらもなんか注文する?満席だから順番待ちしてもらうけど」


「あ、そうだな。じゃあなんか食ってくか」


「おっけー」




そうして桃ちゃんはカツくん達を店の外へ連れていき、私は彼らに手を振って見送った。




少しサボってしまった…!

早く仕事に戻ろう!



そう思いながら慌てて裏に入ると、隅の方でパンケーキの具材を混ぜている佐賀くんが目に入った。





「佐賀くん、何か運ぶものとかある?」


「……え?あ、いや……さっき三田さんと委員長が全部持ってってくれたよ…」




そ、そうだったのか。

ありがとう、三田さんと委員長……。





「…そういえば佐賀くん、ホール出なくていいの?私それ代わろうか?」




佐賀くんもしっかり女装していて、長い黒い髪のウィッグがその白い肌とマッチしてとても魅力的だ。


顔も元々中性的で綺麗だった為、まるでモデルのような美しさが溢れている。



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