爽やかくんの為せるワザ



「カツって……なんで勝治くんが僕を呼ぶの……?」


「カツは佐賀くんのこと推してるからね〜。ま、とりあえず三田さんと代わってあげてよ」


「………………はい」





何かを諦めたように頷いた佐賀くんを、桃ちゃんは引っ張るようにホールへ連れ出して行った。


……頑張れ、佐賀くん!





「たまちゃーん、これ運んで〜」


「あ、はーい!」




他に料理を作っていた子が私に出来上がった料理を渡してくれた。


よし、私も仕事しなきゃ!



と、料理を乗せたおぼんを持ったままホールに出て料理を待つお客様のテーブルへ運んで行く。




「お待たせ致しました、パンケーキとカフェオレでございます」


「きゃー!ありがとうございますぅー!」



キラキラとした瞳でじっと見上げてくるお客様。


ちらっと目を合わせて笑ってみせると、お客様は再び「きゃー!」と黄色い声を上げた。



……男装効果ってすごいや。




「あはは、カツが佐賀に惚れてるー!」




と、そんな笑い声が聞こえて振り返ってみると、顔を赤くさせた佐賀くんとカツくんと、それを見て笑う男子達がいた。


……彼らはいつ見ても楽しそうだ。




「あのあの、店員さんっ」




テーブルから退こうとしたところで、先程黄色い声を上げた女の子が私を呼び止めた。


私服なので、どうやら他校の生徒らしい。



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