爽やかくんの為せるワザ
「あ、佐賀くんお疲れ様」
着替えから帰って来た佐賀くんを見掛け、私は声を掛けた。
佐賀くんは私を見て、ぺこりと頭を下げる。
「……成瀬さん達がフォローしてくれたおかげで…なんとか出来たよ」
「いやいや、十分佐賀くん頑張ってたよ!人気だったしね」
「…………ありがとう」
少しだけ緩んだ口元。
私もそれを見て、にっこりと微笑んだ。
「珠姫ー、午後はどこ回るんだー?」
と、そこへ着替え終わった沙羅ちゃんが私の元へ歩いて来た。
佐賀くんは「じゃあ」と小さく挨拶をしてどこかへ行ってしまう。
「あ、ワリぃ。佐賀と話してた?」
「え?あ、うん!でも大丈夫だよ」
「最近なんか佐賀とよく話してるよな、珠姫」
「うーん……そうかも。デザイン係一緒だったしね!」
「あいつほんと絵上手いんだな。看板のクオリティ高過ぎてビビったわ」
「ね!すごいよね!私も感動しちゃった」
「……珠姫が羽水から佐賀に乗り換える日も遠くないかもな」
「……?沙羅ちゃんなんか言った?」
最後にボソボソと呟いた沙羅ちゃんの声が上手く聞き取れなかったけど、「なんでもねーよ」と沙羅ちゃんが笑うのでとりあえずいっか。