爽やかくんの為せるワザ
――1日の授業が全て終わり、終礼を済ませた生徒がそれぞれ掃除を始めたり部活等に向かい出す頃。
私達3人は鞄を持ち、揃って教室を後にしていた。
「牛乳パックて!」
私がお昼休みに起きた出来事を2人に話すと、沙羅ちゃんは手を叩いて大きく笑ったのだ。
「普通、ハンカチとか濡らして渡さね?」
「だ、だって!牛乳パックならすぐ渡せるし、ハンカチより向こうが気遣わなくて済むかなって思って……」
「あー、まあ一理あるけど。でもビンタって痛そー」
自分の頬に手を添えて首を振る桃ちゃん。
「そりゃ痛いだろ」と沙羅ちゃんが答えて、もう一度私に向き直った。
「その振った元カノもなかなか一方的じゃね?その2人の関係とか状況は分からないからあんま言えないけどさ。
浮気は駄目じゃん」
「……沙羅ってほんと、見た目に反して真面目だよね」
「おい桃、余計なこと言わんでいい。
……つか、羽水がビンタされる意味が分かんねぇ。羽水が痴漢でもしたんかっつーな」
「……羽水くんがそんなことするような人には見えないけどなぁ」
「たまの言う通り、藍くんはそんなことしない誠実な人だよ。すごく優しいし、周りから信頼されてる」
「分かってるって!冗談だっつの。
つか桃は羽水と仲良いんだったっけ?」
「うん。よく皆と遊ぶよ」
桃ちゃんはそう言いながら、いじっていたスマホの画面をこちらに見せてくれる。
そこにはいろんなクラスの生徒がたくさん写っていて、桃ちゃんと羽水くんの姿も確認できた。