爽やかくんの為せるワザ
「……っさ、沙羅ちゃ……」
私の後ろにいた沙羅ちゃんを探すが、辺りは真っ暗でほとんど何も見えない。
しかし、沙羅ちゃんどころか桃ちゃんの気配も先程襲い掛かって来たお化けの気配もなかった。
……あれ?
もしかして、置いていかれちゃった……?
「……」
ごくりと唾を飲み込む。
ゆっくりと立ち上がってとりあえずその場を離れようとするが、不気味な雰囲気を醸し出す装飾がやけに気になる。
そしてどこからともなく聞こえるドンドンという壁を叩くような音。
それにいちいちびっくりしてしまう自分。
……どうしよう。
……怖い……。
一人ぼっちって……こんなに寂しいんだ……。
「……っ」
私は心細さに耐えかねて、ちょっとずつ様子を見ながら道を進んでいくことにした。
こんなにもお化け屋敷をゆっくり進んでもいいのだろうかと、なぜか冷静な考えが頭に浮かぶ。
しかし怖いことに変わりはない。
……私ってお化け屋敷苦手だったのかもしれない。
というか、この雰囲気を作り出してる1組がすごいのかもしれないっ。