爽やかくんの為せるワザ
* * *
投票数が多かった男女上位各5名ずつが発表され、計10名のコンテスト参加者はステージ上で学年毎に並ばされた。
残念ながら勝ち残れなかった参加者は、ここで拍手とともにステージから降りることになる。
中には悔しそうな表情を浮かべる者もいたが、ほとんどが結果に納得したように笑顔をこぼしていた。
「……大丈夫?」
顔を真っ青にした佐賀に、小さく声を掛けたのは隣に立っていた羽水。
副会長が司会を続けている間、気分が悪そうにしていた佐賀を心配したのだ。
「……え?」
「顔色悪いよ、佐賀くん」
「あ……いや……ありがとう羽水くん……。
だ、大丈夫……」
「そう?」
ぺこりと羽水に頭を下げる佐賀は、そのまま大きく深呼吸をした。
佐賀は自分を落ち着かせるように、珠姫の言葉を思い出す。
〝佐賀くんのことすっごく魅力的だと思ってる!〟
〝ほんとに佐賀くんはかっこいいんだよ!?優勝も夢じゃないくらい!〟
……成瀬さんも応援してくれてるし……最後まで頑張りたい……。
そう意気込んで、佐賀はきゅっと唇を噛んだ。
人前に出ることが苦手な佐賀にとって、今こうしてステージの上に立っていられるのはほとんど珠姫のおかげだった。