爽やかくんの為せるワザ
「あれ、逆転カフェの人だよね?」
「超美人!」
「え、めちゃくちゃかっこよくない?」
「女装も綺麗だったけどこっちも素敵〜!」
度々聞こえるそんな声。
グラウンドにいる珠姫はそんな皆の反応にうんうんと頷いている。
「…………成瀬さんのおかげだ……」
自己紹介が終わった佐賀は、思わずそんな声を小さく漏らした。
無事に終えた自己紹介に心底ほっとしたようで。
羽水はそんな佐賀の言葉に反応する。
「佐賀くんって珠姫ちゃんと仲良いの?」
「……えっ、な、仲良いっていうか……文化祭準備の班が一緒だったから……」
「へぇ……あ、もしかして看板作ってた?」
「そう……」
なるほど、通りでクオリティが高かったわけだ。
と、羽水は納得して前に向き直った。
……珠姫ちゃんは本当に優しい子だな。
内気な佐賀くんをここまで勇気付けられてるし。
俺には眩し過ぎるのかもしれない。
こんな優しい子を傷付けるなんて、
俺は出来ない。
羽水は新たな投票が開始される中、そんなことを考えた。
投票箱を持った係員がグラウンドに数人現れ、会場にいる来場者はぞろぞろと投票箱へ投票を入れに行って。
いよいよコンテスト優勝者が決まる。