爽やかくんの為せるワザ



「どんどんいきます!続いて第3位!」




会場が静まらない内に、副会長は勢い良く言葉を続ける。


そして先程と同じように会長から渡された紙を開いた。





「男子、2年……羽水藍さん!
女子、1年……二見紗莉さん!」






大きな声が会場にこだまする。


4位だった藍くんは、ひとつ上がって3位という結果になった。




藍くんが……!

すごい、さすが藍くんだ!



ステージ上で少し驚いていた藍くんは、照れくさそうにぽりぽり顔を搔いている。


会場からは「藍くんやばー!」「藍くんすごーい!」「すげーぞ藍!」などとたくさんの歓声が聞こえてきて。


藍くんの人気っぷりを改めて実感した。



……改めて。




「おい珠姫!羽水3位じゃん!
佐賀がまさかの羽水越えしたな!」





バシッと背中を叩かれてハッとする。

隣では心底楽しそうに興奮している沙羅ちゃんがいて。


私は自分がぼーっとしてしまっていたことに気付いた。




……藍くんへの歓声を聞いてから、ある考えが頭をよぎったのだ。




藍くんって……

私が思ってる以上にモテるんじゃ……。




「珠姫どうした?」


「う、ううん。びっくりしすぎちゃったかな」




心配そうに私の顔を覗き込む沙羅ちゃん。



……藍くんが男子にも女子にも人気があるのは知ってるし、かっこいいし優しいし、モテるのも分かってたけど。


藍くんを想ってる子はこの学校に何人いるんだろう。

……ってくらいモテてるんじゃないのかな。



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