ラジオ越しのあなたと
私は広い広い校舎を歩き、やっとのことで廊下いる愛梨を見つけることができた。
「愛梨ーー!!!!」
私は愛梨に抱きついた。
「愛梨ー!!、スーパー楽しかったよー!!!!!」
「は?!楽しかった??あんた、いけないことでもしたんじゃないんでしょうね?」
愛梨は呆れた顔でこっちを見てくる。
「何言ってんのー☆とびきり楽しいことだよ!!」
私はもう興奮状態で冷静でなんかいられない。
愛梨は何も言わずあるきながらスマホを見始めた。
あー、どうしよーう!!!!
あの綺麗な男の子があの人なんて…
私は興奮しながらも自分の教室へ愛梨と一緒に戻り始める。すると、
(ドンッ)
何かに当たった。
「あ、すみませ…」
物でも人でもなんでもいいからとりあえず謝っとこー、そう思って謝ると
「何しとるじゃおどれ!肩に当たったじゃねーか、おい!!」
怒鳴られた。
しかもよく見ると…
バリバリの金髪ヤンキー。
何してんの私。
私はさっきまでのテンションが一気に下がり、何て言えばいいのか焦り始める。
「す、すみません…」
とりあえず謝る。だけどヤンキー男子は
「なんて?聞こえねーよ!」
の一言。
ギャー!怖いよー!!
せっかくの高校生活がこんなことから始まるなんて…
そう思って涙目になっていると、
「そいつ謝ってんじゃん。許してやれよ。」
と突然後ろから声がした。
振り向くとそこには身長180㎝ぐらいの男子がヤンキー男子を睨みながら立っていた。
「うるせーんだよ。肩に当たっただけでさ、しかも女子相手にそんな怒ることか。」
「……………」
周りが静かになった。
「う、うるせ…」
ヤンキー男子はその場から走りだし、周りからは
「すげー!!!!」
とか、
「かっこいい…」
などの声が聞こえてきた。
私も思わず、
「す、すごい…」
と言葉を漏らしてしまった。
すると、助けてくれた男子が
「大丈夫か?」
と、心配した顔で見つめてきた。
「はい。あの、ありがとうございました。」
私は頭を何度も下げお礼を言う。
「あの時助けもらわなかったら今頃私、泣きじゃくってるかもしれません…本当にありがとうございます。」
「そんな当然のことをしただけだし、女子相手にあんなに怒るって俺、そんな好きじゃないからさ。それに、肩が当たったぐらいで?笑えるよ。」
と、助けてくれた男子はまだご立腹の様子だった。
でも、言ってることがすごかった。
"女子相手に"とか"許してやれよ"とか、中学では考えられない言葉をこの人は堂々と言った。
いかにも愛梨が好きそう。
そう思って愛梨の方を見ると目がハートになっている。
やっぱり…
すると助けてくれた男子が
「じゃ、次からは気を付けろよ。」
と、この場を去って行った。
すると愛梨が
「ちょっと、何あのイケメン!?全部がイケメンなんですけど!!」
と興奮した様子でこっちを見てきた。
「まぁ、確かに身長も高くて顔もイケメンだったけど。」
私も少しドキッとしたが、裕太君に比べたら比にもならない。
助けてくれたのはありがたいけど、頭の中はまだ裕太君でいっぱい。
私はそのことを全部愛梨に言うと、
「あんた、ほんと気持ち悪いよね。」
と前にも言われたことをまた言われた。