待ち合わせは5分以内に

それからは本当に大変だった。

お葬式をしようにも、子供の私には何をどうすればいいのかも分からなかった。

これから先の生活がどうなるのかも、なにもかもが不安で泣きそうになる日もあった。

それでも、病院の担当医の方や看護師さん達が、親身になってくれたおかげで、無事に父を
母のもとに送り出すことが出来た。

私自身も、父方の祖父母が引き取ってくれる事が決まり周りの人達のおかげでようやく落ち着く事が出来た。



身の回りの事が落ち着いて、冷静になれるようになってから、たまに思う。
ボロボロの父を前にして、何もできなかった自分。親孝行なんて少しもできなかった自分の無力さ。家族の見送りさえも1人ではできない不甲斐なさ。
消えかけている大切な人を前に、ただ見ている事しか出来ない自分が、憎くて、悔しくて、情けなかった。



だからこそ、もう二度とこんな思いはしたくない。