冷たいキスなら許さない


「わあーい、サンマの竜田揚げだぁ」
「うん、脂の乗りが今ひとつみたいだったから塩焼きにしないで揚げたの。このソースもかけてみて」

お母さんに勧められてソースの入った深めの小皿を手に取る。
「オーロラソースですか?あ、違うか。ちょっと色が違う。しょうゆマヨ?」

「ハズレー。バルサミコマヨソースなの」

「へえー。バルサミコですか。じゃ早速」
ひと口大になっている竜田揚げにお母さんおススメソースをひとかけして口に運ぶ。

「おいしい!下味のしょうがを邪魔しないでバルサミコの香りもする。甘酢もいいけど、こっちの方が好きになりそう!」

「よかった。これお友達にね、教えてもらったの。お父さんなんて何食べても反応ないし、やっぱり灯里ちゃんに食べてもらってよかった」
お母さんはにっこりとした。
私の方こそありがとうです。もう、ホントに美味しい。
そのままお母さんと私が話し続けてお父さんと社長は相づちを打つくらいでお昼ご飯を終えた。
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