冷たいキスなら許さない
「それでは、一つだけ私のお願いをきいていただけませんか?」

「あら、何かしら?何でも言ってちょうだい」
櫂の大叔母さまは目をキラキラとさせた。

「先日の会食でいただいた海苔吸いに入っていた海苔を少しでいいので分けていただけませんか?」
「え?お海苔?」
「はい。とてもいい香りがしてお味も良かったので森社長のご両親と一緒に味わいたくて。どうでしょうか?」

「もちろん、差し上げるわ。でも、それでいいの?」
「私には贅沢なくらいです。高価なものをねだってしまい申し訳ありません。ほんの少しで結構ですので」
結局料亭で使っている海苔を1帖頂いた。

たぶんここの仕出し会席弁当2個分くらい高級なものだけれど、毎日仕出し弁当を届けられるよりはいいだろう。
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