冷たいキスなら許さない


0時を過ぎたところでハイテンションだったお母さんが酔いつぶれ、大和さんが寝室に連れて行った。
お父さんはその30分ほど前にすでに酔って寝室で眠っている。もうぐっすりだ。

「キッチンの片付けしますから社長はお風呂に行ってください」

飲みかけの焼酎の瓶を棚に戻して、食べかけのお皿にラップをかけ冷蔵庫にしまう。

「お前だって疲れてるんだからそのままでいいのに。明日お袋が片付けるって。気にすんな」

でも、テーブルに汚れ物を残して気にするなという方が無理だ。

お盆に重ねたお皿とグラスを乗せてキッチンに運べばダイニングテーブルは綺麗になる。
食洗器に入れるものと入れられないものを分けて・・・洗うものはそう多くない。

「コレがこのままここにあったら気になって眠れませんよ。いいから早くお風呂にどうぞ。社長が出たら私も後で入らせてもらいますから」
暗に私も入るのだから早く入って欲しいとにおわせた。

「ここの息子は俺のはずなのに灯里の方が本当の子供みたいだな。俺じゃどこに何があるのかもわからない」
私の動き回る様子を見ながらくっくっと笑っている。

ここのお家のバスルームは今まで夕食をご馳走になった時に何度もお借りしているから深く考えずに言ってしまったけれど、ここは大和社長のご両親の家。
よく考えてみたら図々しい発言だ。

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