冷たいキスなら許さない
は？
いま、彼女じゃないって言った？別れたの？結婚するって聞いていたけど？

「灯里、明日の夜は時間とってもらえないか？何時でもいいから」
「－－お断りします」
その時、キッチンの方で物音が聞こえた。どうやら社長がお風呂から出たみたい。

「じゃあ、電話切るわね」
何となく電話をしていることを知られたくなくて急いで櫂の返事を待たずに電話を切った。

すぐに着信ランプがついたけれど、そのまま無視してスマホをひっくり返して布団に置いた。留守番電話に切り替わった後で『もう電話には出ない。私は大事にしたくないからそのように対処して』とメールを送ってスマホをバックに投げ込んだ。

男はなんて勝手な生き物なんだろう。
櫂だけじゃなくて大和社長も。

今さら何の話だ。
別れて4年。もうとうに結婚したと思っていたけど、彼女と結婚していなかったのは別れたからだったのかも。ま、どうでもいいけど。


知らない男に腕をつかまれるし、櫂も社長も勝手にキスするし。

もう、本当にどいつもこいつも腹が立つ。
最悪。

< 186 / 347 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop