冷たいキスなら許さない
KISS KISS プラス
枕を相手に喧嘩を売っていたはずが浅い眠りに落ちていた。
***
「---これ誰の?」
洗面所に置いてあったピアスを櫂に見せる。
「あ・・・」
明らかにマズいという顔した。
「どういうこと?誰の?誰がいつ来てここで何したの?」
私が櫂の部屋に来たのは一か月ぶり。会うのだって3週間ぶり。
その間に櫂は誰とここで過ごしていた?
私にしばらく来るなって言ったのはこういう事だったのか。
二か月くらい前から櫂は私を遠ざけようとしていたようだった。
メールしてもなかなか返信は来ない。既読すら時間がかかる。
もちろん電話になんか出てもらえない。かかってもこない。
そんな日が続けば誰だっておかしいと思う。
とどめがこのピアス。
「ねぇ、これ何なの?誰の?」
納得できる説明が欲しい。
浮気したわけじゃないって、お姉さんとかお母さんとか妹とかのだって言って欲しい。
黙っている櫂に焦れる。
「ねぇ、ちゃんと説明してよ!」
「--うるさいっ」
いきなり声を荒げてソファーから立ち上がると
「帰れ」
と私のバッグを押し付けてきた。