冷たいキスなら許さない
「何、どういうこと」
「いいから帰れ。もうここに来んな」

突然の絶縁宣言に身体が冷え込み目の前が真っ白になる。

「何言ってんの?」
「お前の金切り声が耳障りなんだ。ぴーぴーきゃーきゃーうるさい」

冷たい視線と低い声。
誰?私の知ってる櫂じゃない。

「帰れって言ってんの。聞こえない?」

バッグを抱えて立ちすくむ私の背中をぐいっと押して「さあ帰れ」と冷たく突き放すと櫂は寝室に入ってしまった。

バタンとドアが閉まり、私はリビングに1人取り残される。

何が起こったの・・・
どうしてこんなことになったの・・・
私が何をしたっていうの
櫂はどうしちゃったの

何一つわからないまま櫂の寝室のドアをノックする。

「櫂、ねぇ、出てきて」

恐る恐る声をかけた私に返ってきたのは
「早く出てってくれ」
氷のような言葉だった。

< 188 / 347 >

この作品をシェア

pagetop