冷たいキスなら許さない
「で、今社長はどこに?」
「ああ、さっき長野に戻ったよ」

えええー。
「ご両親の暴走を放置してですか?」
「光から連絡があって急いで出てったから、何かあったのかもしれないな」

「かもしれないってそんな無責任な」ちょっとだけムッとすると、
「大和に任せておけば大丈夫だろ?俺や灯里ちゃんの助けが必要になればすぐこっちに連絡が来るさ」と淡々と返される。

まぁそうなんですけど。

「それより、大和のとこのおじさんおばさんの方が大問題じゃないの?」
ははっと笑われてはっと気が付く。

そうでした!おじさんおばさんの大暴走を何とかしないと。

そうだ、進さんに相談しよう。
「事情も分かったし、もう、スマホの電源入れてイイですよね?」
声をかけて小城さんのデスクに置いたスマホに手を伸ばす。

「ーーー灯里さん、本当は大和とはどうなってるの?上司じゃなくて大和の親友として聞いてもいい?」
下北さんの声からからかいの色が消えて落ち着いた真面目な大人の声になっている。
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