冷たいキスなら許さない
「灯里ちゃん、エリがきつい言い方してごめんね。とりあえず親父たちにストップかけとくからさ、灯里ちゃんも落ち着いて考えてみなよ」

進さんが優しく言ってくれて通話が終わった。
考えるって、一体何を考えろというんだ、下北さんもエリちゃんも進さんも。


窓を開けて風を入れて深呼吸してみる。
秋風が顔に身体に涼しくスッと通り抜けていく。
でも、何かが違う。
何かが足りない。
ちっともスッキリしない。
ーーー何が?

テーブルの上に置いてマナーモードにしておいたスマホが震えている。
着信だ。

”櫂”
身体が硬くなる。
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