冷たいキスなら許さない
「・・・櫂」

「ああ、よかった。朝から何度か電話したのに全然通じないから何かあったのかと思った」
櫂の声は本当に心配していたらしくていつもの感じとは違っていた。

「ごめん、ちょっと事情があって電源オフにしてた」

「それって昨日のあのせいでか?」

「あ、違う、違う。別件。関係ないから気にしないでいい」
探るような櫂の声に少し焦る。そっちの事情は話したくない。

「それで?」用件は?と促す。

「灯里の腕をつかんだ野郎の処分は向こうに任せることになったのはお前のところの社長に聞いてるか?」

「ううん、社長とは昼からまだ話ができてないの。全部任せてあるんだけど」

「聞いてないのか?じゃあそこからだな」

そう言って櫂は話し始めた。
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