冷たいキスなら許さない
下北さんは社長は光さんからの連絡が入って急いで長野に帰って行ったと言っていた。
長野で何があったんだろう。
何かトラブルがあったのなら私にもできることはないんだろうか。

それともーーもしかしたら。
今、大和社長は本当に好きな人のところにプロポーズをしに行ってるとかーーー

偽カノとの結婚話が出て本命彼女が不安になってしまわないようにとか。
進さんたちが言うようにこのタイミングで本命と結婚を決めるとか。

深いため息が出た・・・。

もうダメ、もう考えるのは嫌だ。
頭がパンクしそう。

下北さんも進さんもエリちゃんも考えなさいって。櫂は後でいいって言ったけど、考えて欲しいって。
考えろ、考えろって何なの、みんなして。

こんな時には社長の声が聴きたいのにどこで何しているんだか。

何をしていても何を考えていても今日の櫂の話がちらちらと頭の中に甦ってくるし。
しっかり引き出しに入れたつもりだったけれど、当たり前だけどそううまくいくはずもない。

西倉恭香が実はストーカーとか、もう一度やり直すとか。
おまけに社長はちっとも連絡してくれない。

ああ、もうイヤ。

イライラする気持ちを持て余して私は大きめのバスタブにお気に入りの入浴剤をたっぷりと入れてゆっくりと入浴することに決めた。

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