冷たいキスなら許さない
落ち着かない気持ちを静めるようにゆっくりとお風呂に浸かっていたら思ったより長風呂になっていて、出てきたときには22時を過ぎていた。

お風呂上りにスマホを見ると社長から簡潔なメールが入っていた。
『セクハラ常務の方は心配なし』

は?なんだこれ。
もっとしっかり説明する気はないのか?
おまけに森家のご両親の暴走はどうするってーの。

電話をかけてみたけれど、留守番電話に切り替わってしまった。
メールするけど1時間たっても返信もなく。

こんなに連絡が途絶えてしまったのは初めてのことで胸のざわめきがイライラに、そして痛みにに変わっていく。

もしかしたら本命彼女とうまくいったのかな。
だとしたら今ごろ社長は笑顔で彼女とーーー。
って、お風呂に入って落ち着こうと思ったのに、これじゃ全然だわ。

頭をブンブンっと振って嫌な想像を振り払いドライヤーをかける。
・・・そういえばこのドライヤー、ここに引っ越してきたときに社長が買ってくれたんだっけ。


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