冷たいキスなら許さない
高速を下りて茅ヶ崎から鎌倉を目指して海岸通を走らせる。
深夜帯のせいで交通量は少ないけれど、道路沿いのコンビニや深夜営業のカフェの前には若者の姿が見える。男女数人で騒いでいたり、カップルだったり・・・。
海岸にもちらちらと人影があってみんな楽しそうに見えてしまう。

いいなーーー。
私はひとり目的もなく車を走らせている。
鵠沼から片瀬海岸に入ると人も車も増えたけれど、反対に寂しさが募っていく。
私、このままずっとひとりで暮らしていくんだろうか。

ここ何年も社長についてひたすら働いた。
会社を支える光さん、大坪さん、下北さん達とは別の形で私なりに会社を支えてると自負していたけれど、本当は誰にでもできる仕事だった。私でなくても・・・それは今まで目を背けていたけれど、一つの事実だ。

実際、何でも屋の私は人さまのフォローばかりで、何かを成し遂げるという仕事はしていない。それは長野にいても、ここ厚木にいても。

この4年何してきたんだろ、私。
社長が結婚したらーーー奥さんになる人は会社の経営に口を出す人だろうか?あの仕事バカと一緒に苦楽を共にしたいと思う人だろうか。社内での私のポジションは守られるんだろうか。


時刻は深夜0時半。
相変わらず、社長からの連絡はない。
・・・昨日セクハラにあった部下のことはもう気にならないのか。

連絡くらいしやがれ。
バカヤロー






< 251 / 347 >

この作品をシェア

pagetop