冷たいキスなら許さない
「私はこれ以上あなたと話をするつもりはありません。あなたがどうしてここに来たのかは知りませんけど、こんなことをされるのであれば櫂にも相談して正式に抗議をします」
これ以上話すことはないと突っぱねるように言うと、ハッとしたように顔を上げて私を見た。
「だめよ。私の話を聞いて」
この人はどこまで自分勝手なんだろうか。
「じゃあ、聞きますが、私の質問にもはっきりと答えて下さい」
と強く言えば
「・・・わかったわ」と西倉恭香はしぶしぶと言った感じで頷いた。
「まず、どうして私がここに居ることを知っているんですか」
それはかなり重要だ。
厚木に住んでいる私が今日東京に来ることを知っているのは会う約束をした櫂だけで私の社内の人間も大和社長だって知らない。
でも、櫂がこの人にそれを教えたとは考えにくい。
「・・・正確にわかっていたわけじゃないの。もしかしたらそうじゃないかって予想しただけ。まさか本当にそうだとは思わなかったわ・・・」
か細い声で呟くように言ってまたはらりと涙をこぼす。
「予想?」
「そう。・・・イースト設計のスタッフに私の知り合いがいるの。その人に迷惑がかかるから名前は言いたくない。その人は私と櫂の過去の関係を詳しく知らないから、私も伝えてないの。私のことは芸能人に憧れるのと同じで雑誌やパーティーで知った業界の有名人の桐山櫂ファンの一人だと思ってるみたい」
「で、その人から櫂の情報をとっていると?」
「そう、その人も悪気無く話してるだけなの。たまたまよ。『最近機嫌がいいんですよ』とか『厚木によく行ってる』とか。ほんの世間話みたいなもの。なにも重要なことを漏らしているわけじゃないの」
これ以上話すことはないと突っぱねるように言うと、ハッとしたように顔を上げて私を見た。
「だめよ。私の話を聞いて」
この人はどこまで自分勝手なんだろうか。
「じゃあ、聞きますが、私の質問にもはっきりと答えて下さい」
と強く言えば
「・・・わかったわ」と西倉恭香はしぶしぶと言った感じで頷いた。
「まず、どうして私がここに居ることを知っているんですか」
それはかなり重要だ。
厚木に住んでいる私が今日東京に来ることを知っているのは会う約束をした櫂だけで私の社内の人間も大和社長だって知らない。
でも、櫂がこの人にそれを教えたとは考えにくい。
「・・・正確にわかっていたわけじゃないの。もしかしたらそうじゃないかって予想しただけ。まさか本当にそうだとは思わなかったわ・・・」
か細い声で呟くように言ってまたはらりと涙をこぼす。
「予想?」
「そう。・・・イースト設計のスタッフに私の知り合いがいるの。その人に迷惑がかかるから名前は言いたくない。その人は私と櫂の過去の関係を詳しく知らないから、私も伝えてないの。私のことは芸能人に憧れるのと同じで雑誌やパーティーで知った業界の有名人の桐山櫂ファンの一人だと思ってるみたい」
「で、その人から櫂の情報をとっていると?」
「そう、その人も悪気無く話してるだけなの。たまたまよ。『最近機嫌がいいんですよ』とか『厚木によく行ってる』とか。ほんの世間話みたいなもの。なにも重要なことを漏らしているわけじゃないの」