冷たいキスなら許さない
「いつからここに居たんですか」
「１時間くらい前から。でも、私はあなたや櫂のストーカーじゃないから」

怖い。そんな話を聞いて信じられるはずがない。

半歩下がった私に
「お願い。ひかれるのを承知で言ったのだから私の話も聞いて」
と言い出した。

「先日のパーティーでもあなたに失礼なことを言いました。申し訳ありませんでした。４年前に別れていなくなったはずのあなたが今も櫂と一緒にいると思って悔しくなってーー思わず言ってしまったの。
だってそうでしょう、あの時あなたを捨てたのに櫂は私のことも拒絶した。でも、櫂は別れたはずのあなたとまた一緒にいるだなんて」

この人、何言ってんの？なんて勝手な言い草だ。
さっきまでのおどおどした態度とは正反対の私の知っている傲慢な西倉恭香が顔を出した。

一体、何しに来たの？
謝罪の言葉らしきものを口にした直後にまた傲慢なことを言うなんて。
もともと謝罪する気など更々ないんじゃないんだろうか。

驚きで声が出てこない。
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