冷たいキスなら許さない
「し、新発田社長。まだ結婚決まってないんですが・・・」
「え?まだなの?キミ達何年も何してんの」
新発田社長の呆れた声が胸に刺さる。

「ええっと・・・」
しどろもどろになった私に
「まあいいさ。決まった時でいいから。それにまぁ、仮にその相手も違っててもいいから」
と新発田社長も面白がっている。

「あ、相手は変わりませんっ」
拒絶されなければの話だけど。どのみち、大和社長以外とどうこうなろうとは思わない。

「よし、じゃあ決まりだ」

なんだか新発田社長の勢いにのせられた気もするけれど。

・・・これ、どうやって大和社長に報告したらいいんだろうかという新たな悩みが出現することになったのは言うまでもない。

付き合ってもいないのに私からプロポーズするとか???
いや、大和社長と結婚したいんじゃなくて新発田社長に仲人をしてもらうために結婚したいと思われてしまったら本末転倒だしー

まっとうに考えたら、新発田社長ご夫妻にはもうしばらく待っていただくしかないのだけどーーー


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