冷たいキスなら許さない
”綺麗なお嬢さん”発言はうれしいものの
「せっかくですけど、お断りします」
口調はきつく、でも口元はニコリと微笑んでつかまれた腕をほどいてもらおうと彼と視線を合わせた。

「私は君の好みに合わなかったかな?」
私の腕をつかんだまま金髪男はニコリと笑みを浮かべる。
なんだ、コイツ。しつこい。

「腕、離していただけます?」
愛想笑いを止めて軽く睨むようにすると
「ああ、ごめんね。逃げられそうだったから」
というもののつかまれた腕は放されない。

「あなたとはお付き合いしません。急ぎますから離れて下さい」
「日本女性は私のような白人男性がお好みなんじゃないのかい?」

自信満々な物言いはムカつく以前に寒気がする。
確かにね、あのスパイ映画とかで超有名なハリウッドスターの金髪碧眼男性は女性のほとんどがうっとりするレベルだ。私も好きだ。
でも、だからといって金髪碧眼でイケメンなら誰でもいいってわけじゃないでしょーが。

「あなたが何回その手で日本人女性相手のナンパに成功してるのか存じませんけど、全ての日本人女性がそうだと思わないで。甘く見るのはやめてちょうだい」
上目づかいでキッと睨む。

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