冷たいキスなら許さない
「そういえば、さっき、俺たちの寝室とか言ってなかった?」
コーヒーを手渡しながら大和さんに聞くと
「言ったけど?」
それがどうしたと当然の顔をされる。

「まさか大和さんが厚木に住むの?本社機能を厚木に移すなんてことはないよね?会社にとって重要なものがあのベッドっていうのも謎だけど、ここの部屋の今使ってる私のベッドはどうするの?」

私の言葉にみるみるうちに不機嫌な表情になり、暴君に変化した。

「察しの悪い女だな。ほら、ちょっと来い」
「うわっ」

”来い”と言ったくせに私をひょいっと抱き上げてスタスタと私の寝室に入ると、ぽとんとベッドに寝かすように下ろす。

えーっと?
暴君は私を組み敷くようにして私の上にまたがり抱きしめてきた。

「くっ」
顔が近付いて、耳をなめられて思わず声が出てしまう。
これ、何。

「くぅう~大和サン、今ワタシ何をされているんでしょう」
たった今まで色っぽいムードなんて何もなかったはず。
大和サンだってスイッチ入ってないはずなのに。

「だからさ、お前のこのシングルベッドで二人で一緒に寝られるのかって話だよ。身体でわからせてやろうと思って連れてきた」
暴君はしれっとそんなことを言う。
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