冷たいキスなら許さない
「しばらく毎週末帰って来いとは言えないくらいこっちが忙しいだろ。だから時間が出来たら俺がこっちに来るから。灯里はまさか俺に親父たちのところに泊まれとか言わねーだろうな?」

ああ、そういうことか。
確かにね、私のシングルベッドじゃ大柄な大和さんが寝るには狭い。

「ここのは親父たちが買いそろえた家具だし、このベッドを勝手に捨てるわけにもいかない。仕方ないからここに置いておくけど。新しいベッドもセミダブルで二人じゃ狭いが置くのが6畳間だしな。仕方ないだろう。まぁ密着して寝ればいいさ」

うわぁ。
密着ですって。

考えたら恥ずかしくなって顔が熱くなって汗がじわっと滲んできそう。

「灯里に会えないなんて俺の士気に影響するだろうが。だからこれは”会社にとって最重要なこと”の一つで間違っていないわけだ」
暴君が恐ろしく黒っぽいけど素敵な笑顔を見せる。

なんてこと言うんだ、この暴君は。
嬉しいわ、恥ずかしいわで顔を赤くさせるだけで声も出せないし身体も動かせない。

「結構純情だなとは思ってたけど、予想よりも遥かに純情だったな」

んぎゃぁ。耳元で囁くのはやめてー。
どうやら私の赤い顔が暴君のドSスイッチを押してしまったらしい。

「さあ、婚約者殿。約束の”愛のあるキス”をゆっくりしようか」

ぎゃあぁぁぁ~
やっぱりあのプロポーズの返事は失敗だったー




それからしばらくしてマットレスが届いたのだけれど、私は全身を紅潮させていて恥ずかしくて寝室から出ることができず、対応は全て大和さんがしてくれたのだった。




~冷たいキスなら許さない~   
               Fin


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