冷たいキスなら許さない
「申し訳ございません!」
住宅展示場内をわが社の展示住宅に向かって歩いていると佐々木さんの声が耳に飛び込んできた。
なんてことだろう、トラブル発生だ。
走ってフォレストハウジングの展示住宅にとびこむと、玄関に仁王立ちした中年女性と謝罪している佐々木さん、小さく縮まる新人の姿があった。
どうしたというのだろう。これどういう状況なんだろう。
肩を怒らせる中年女性に声をかけた。メリハリのあるスタイルでセレブな奥様風なファッションに身を包んだアラフォー女性。
「わたくし、このフォレストハウジングの社長秘書をしております本木と申します。何かうちのものがお客様に対して失礼がありましたでしょうか。大変恐れ入りますが、詳しい状況をお聞かせいただけますでしょうか」
女性は私を見るなり、食いついてきた。
「あなた、いい所に来たわ。責任がある人なのよね。
先週末ここのブログに載せた写真のことで話があるのよ。勝手に私の写真を載せるなんて一体どういうつもり?私に損害が出たらこちらに損害賠償請求させていただきますからね!」
え、損害賠償って。