冷たいキスなら許さない
「桐山さん、どうもありがとうございました。また後日上司とお礼に伺わせていただきます。申し訳ありませんが、わたくし、この後予定が入っておりまして先に失礼させていただきます」
盛り上がる会話の腰を折らないように少し待ってから、礼儀正しく頭を下げて書類カバンを持ち上げた。
「あ、本木さんこっちに用があってきたんじゃ?」
佐々木さんの問いかけに首を振った。
「次の予定まで少し時間があったから様子を見に寄っただけなの。特別に何かがあったわけじゃないから。社長と下北さんへの報告は私がしておくね。小城さんの方はよろしく」
軽く微笑んで手を振った。
「じゃあまた来るわ」玄関を出ようとすると、
「灯里、俺も一緒に行く」と櫂も出てきた。
佐々木さんたちの「ありがとうございました」という声に手を振って応えた櫂は私と並んで歩き出した。
そっと周りにひと気がないことを確認する。
「ついてこないで」
「俺も駐車場に行くんだ」
「イイダ建設なら西駐車場を使うんじゃないの?」
絶対に櫂に視線は向けない。
「俺も東駐車場に停めているんだ。一緒だろ?」
至極当然と言った顔で返事をする櫂にこれ以上は言葉が出なかった。同じ方向に行くのなら仕方ない。
盛り上がる会話の腰を折らないように少し待ってから、礼儀正しく頭を下げて書類カバンを持ち上げた。
「あ、本木さんこっちに用があってきたんじゃ?」
佐々木さんの問いかけに首を振った。
「次の予定まで少し時間があったから様子を見に寄っただけなの。特別に何かがあったわけじゃないから。社長と下北さんへの報告は私がしておくね。小城さんの方はよろしく」
軽く微笑んで手を振った。
「じゃあまた来るわ」玄関を出ようとすると、
「灯里、俺も一緒に行く」と櫂も出てきた。
佐々木さんたちの「ありがとうございました」という声に手を振って応えた櫂は私と並んで歩き出した。
そっと周りにひと気がないことを確認する。
「ついてこないで」
「俺も駐車場に行くんだ」
「イイダ建設なら西駐車場を使うんじゃないの?」
絶対に櫂に視線は向けない。
「俺も東駐車場に停めているんだ。一緒だろ?」
至極当然と言った顔で返事をする櫂にこれ以上は言葉が出なかった。同じ方向に行くのなら仕方ない。