冷たいキスなら許さない
「入るぞ」
薄笑いを浮かべた社長が入ってきて持っていたミネラルウォーターのペットボトルを私に放り投げる。
きゃっ。
ギリギリキャッチ。
「ありがとうゴザイマス」
「そんなに睡眠不足だったとは知らなかった」
実際、櫂と再会してからあの辛かった頃の夢をみるようになってよく眠れない夜が続いている。
もうずっと熟睡していなかった。
「すみません。ベッドお借りしちゃって。長野に着いたら叩き起こしてくれればよかったのに」
「いや、展示場の方も忙しかったんだろ?」
「そうでもないですよ」
腰かけていたベッドから立ち上がると一瞬くらっとしてよろける。
すかさず社長の腕が伸びてきて、背中を支えてもらった。
「重ね重ね申し訳ありません」
「大丈夫か?もう少し休んでもいいんだぞ」
社長が珍しく私のことを心配しているらしい。切れ長の目の黒い瞳が私の頭の中まで透かして見るつもりじゃないかというくらいに私の目を見つめている。
「大丈夫です。今のはたぶん…空腹で」
社長の顔が驚きから笑いに変わる。
「腹が減って立ちくらみ?」
「だって、行政書士の事務所の外回りしてたら長引いてお昼のタイミング逃しちゃって。お茶菓子のクッキーもらって食べたきり」
薄笑いを浮かべた社長が入ってきて持っていたミネラルウォーターのペットボトルを私に放り投げる。
きゃっ。
ギリギリキャッチ。
「ありがとうゴザイマス」
「そんなに睡眠不足だったとは知らなかった」
実際、櫂と再会してからあの辛かった頃の夢をみるようになってよく眠れない夜が続いている。
もうずっと熟睡していなかった。
「すみません。ベッドお借りしちゃって。長野に着いたら叩き起こしてくれればよかったのに」
「いや、展示場の方も忙しかったんだろ?」
「そうでもないですよ」
腰かけていたベッドから立ち上がると一瞬くらっとしてよろける。
すかさず社長の腕が伸びてきて、背中を支えてもらった。
「重ね重ね申し訳ありません」
「大丈夫か?もう少し休んでもいいんだぞ」
社長が珍しく私のことを心配しているらしい。切れ長の目の黒い瞳が私の頭の中まで透かして見るつもりじゃないかというくらいに私の目を見つめている。
「大丈夫です。今のはたぶん…空腹で」
社長の顔が驚きから笑いに変わる。
「腹が減って立ちくらみ?」
「だって、行政書士の事務所の外回りしてたら長引いてお昼のタイミング逃しちゃって。お茶菓子のクッキーもらって食べたきり」