冷たいキスなら許さない
「おいおい昼休みはずれてもしっかり取れよ」

「会社に戻って食べようって思ったら社長がいて…それからそんな暇なかったでしょ。帰るって言うから」

社長の口が”あ”と開いて、気まずそうにがしがしっと頭をかいた。
「俺が悪いのか」

「そうとも言います」
ニヤリと笑って見上げると社長は「ゴメン」と頭を撫でてくれた。
こういうところは素直で優しいんだよね、この暴君。

「慣れてますから大丈夫ですけどね。でも何か食べさせて下さい。冷蔵庫に何か食材入ってますか?私が作ってもいいなら・・・」

「いや、さっきちょうど進の店から食料が届いたとこ。灯里の好きな魚のフライもゴーヤチャンプルーも届いてる。安心して沢山食っていいぞ」

「ホントですか。やったー!わーい。社長大好き!」

空腹で倒れそうと思っていたのが一転して、ウキウキとからだが軽くなりベッドルームを出てダイニングに向かった。
ああ、こっちの部屋の中は美味しそうな匂いで充満してる。


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